「言っとくけど、」 「………」 「いい加減、自分等がひとりの人間に踊らされてるって気付けば?」 「は、なんの話だよ」 凌の言葉に、男は小さく笑って。 「裏切り者が、仲間にいるって言ってんの」 わかんないの、と言った男。 ……やめろ。 そんな言い方したら。 「シ、オ?」 せっかく、汐乃が歩み寄ってきたのに。 また、幹部が勘違いする。 汐乃は、裏切り者なんかじゃない。 「総長さん♪ とっくに知ってたんでしょ?」 ──裏切り者、は。