視線を上げれば。
「睨まないでよ、怖いから」
「汐乃はどこやった」
「え~、あの子は報酬だからさ。
とりあえず、こっち相手してくんない?」
ふ、っと笑った男が。
「やれ」と、声を掛けた瞬間に色んなところから隠れていたヤツ等が出てきた。
「お前、無茶すんなっつーの!」
上がってきて早々、俺に怒鳴った凌も一応幹部だ。
それなりにケンカは強い。
「ふぅん。
姫じゃなくて、元姫なのに総長と幹部ね」
男のそんなつぶやきが、なんとなく聞こえてきた。
廃ビルの中は、すぐに血の匂いが充満した。
元から、タバコ臭かったけどな。
「でもまぁ、これはこれで見てて面白いからいいや」



