【side麗】



なんとなく。



本当に、なんとなくだった。



汐乃の番号をコールするが、なぜか電話に出ない。



でもまぁ、さっき。



「帰ったら、連絡するね」



ご丁寧にも俺の晩飯まで作ってくれた汐乃は、そう言って帰っていった。



倉庫に1度寄るって言ってたから、騒いでて気づいてないのかもしれない。




そう思いつつ、1番出る確率の高い沙和に電話をかける。



『もしもし?どうかした?』



「……汐乃は?」



何気なしに、まだ俺のことを好きだと言ってくれた汐乃の声が聞きたいだけだった。



それが、なんとなくの理由なのに。



『……え?』



「……どうした?」



『麗と、一緒じゃないの?』