え、嘘でしょ? 「……あの、麗?」 「………」 「……あ、の?」 なんで私のこと抱きしめてるの、と言いたいけれど。 「大人しく寝とけ」 お前いたら安心出来るから。 耳元でそう優しく囁かれたら、離れたいと思えなくなる。 「……うん。おやすみ」 もう復讐なんて出来ないな、なんて。 そんなことを思いながら。 麗が、私が裏切ったという偽の情報を訂正しなかった理由も。 “大きなものが懸かってる”という、本当の意味も。 何も知らないまま。 気がつけば、私は眠りについていた。