「ん」



スマホを受け取った麗を見て、それからふと思い出して立ち上がる。



「麗、これ飲んで」



「……わかった」



素直に風邪薬を飲んでくれた彼を寝かすため、部屋に行こうとしたのだけれど。



「こっち」



手を引かれ、入ったのは麗の部屋ではなく。



「麗、ちょっ……待って」



例のダブルベッドの部屋。




しかもなぜかそのまま私を押し倒した彼を慌てて制す。



何しようとしてんの…!



「冗談だから」



ふ、と楽しそうに笑った彼は。



「おやすみ」



私を後ろから抱きしめてきたかと思うと。



ふとんをかけて、そのまま目を閉じた。