時雨が、麗を嫌い?



そう思ったけど、いま重要なのはそこじゃなくて。



「手伝ってくれる、の?」



「ああ。俺はシオのためなら何でも出来るからな」



本当に、彼はなんでも出来るんだろう。



私の、ためなら。



「その代わり」



時雨が、頬に触れていた指を私の唇まで持っていった。




「復讐が成功したら、俺と付き合う」



「え、」



「その条件呑んでくれるなら、俺は手伝う」



ああ、そうか。



そのための、“強行突破”か。



「……良いわよ、それで」



彼に、復讐出来た時。



私はきっと、麗を忘れることが出来るから。



いまはただ、この胸が切り裂かれてしまいそうな痛みに耐えるだけでいい。