麗はぎゅっとシオを抱きしめたあと、何かを耳元で囁いた。
「……え、」
「……沙和」
「なんだ、気づいてたんだ」
「それ」
「……ああ、うん。
さっき買ってきたやつだし、まだあったかいから飲んだら?」
何事もなかったかのように彼女を離した麗は、ブレザーを着直して。
「汐乃、下行くか?」
「……ううん、大丈夫」
ここでいい、と言った彼女に麗は何も言う気がないのか、周りを視線だけで見回した後。
「アイツ等は?」
「バカやってるよ、そこで」
グラウンドの方を指して言えば、これまた興味がないのか袋の中身を取り出していた。
これが梨緒とか凌だったら、話し聞けよって思うんだけど。
全体的に麗が無関心になってしまったのは、1度シオを失ってしまったからだった。



