この子も、麗のことが好きなはず。



麗の行動で、この子は嬉しそうに笑ったり落ち込んだりしてる。



時雨と付き合ってるのにも、ワケがあるはずだ。



「つーか、寒くね?」



「まぁ、それなりに寒いよね。

そろそろ拠点を空き教室に移さないと」



シオが風邪引いたら麗が困るし、と。



そう思いつつ話していたら、案外早く麗は戻ってきた。




なんでも。



奈々ちゃんの親が迎えに来る、ということで。



親が来るまで一緒に待ってただけらしい。



「おかえり」



そう言って微笑むシオの表情は、さっきより全然明るい。



「ん。ただいま」



……ああ、もう。



「……あれ、どうしたの?シオちゃん」



「……ちょっと寝不足かな。眠い」