【side沙和】



学校案内を終え、屋上に来てすぐ。



麗のスマホに、奈々ちゃんから「体調悪いし帰るね」という連絡が入った。



「……送って来る」



「あ、麗、」



「どうした?」



「……ううん、なんでもないよ」



いってらっしゃい、と麗を送りだすシオ。



その笑顔がどことなく弱々しいことに、俺以外の誰が気付いたかは謎だけど。




麗は「すぐ戻ってくる」と彼女の頭を撫でて、屋上を出ていった。



麗がシオを好きなのは一目瞭然。



でも、奈々ちゃんが正式な姫だ。



麗は放っておけないんだろう。



「大丈夫だよ、シオ。そんな不安な顔しなくても」



「へ?」



「麗、すぐ戻ってくるから」