身代わり彼女、はじめました。【更新中】

_____登校初日、教室にて

「今日は大阪からの転入生がいるぞー。」

そう担任の声が聞こえた後、廊下にまでクラスのざわめきが聞こえてきた。

_まじで?
_大阪?
_ねぇねぇ、イケメンかな!?
_バカ、美少女に決まってるだろ。

俺はドアにぴったりと背中をくっつけて先生からの合図を待った。

制服を何度も鏡の前でチェックして、胸に手を置くと鼓動がとくとくと聞こえる。

自然とにやける顔を手で押さえつける。

「神原君、入っていいぞー。」

来たッ!!

「はい!!」

ガラッ

ドアを勢いよく開けると、一気に注目が俺に集まる。

うう、緊張する。

俺は黒板の中心に立ち、思いっきり息を吸った。

そしてお腹の底から思いっきり叫んだ。

「大阪から来ました神原晴也です!!好きな食べ物は広島焼きです!!よろしくお願いします!!!」

瞬間、ドッと沸きあがる笑い。

_神原君おもしろーい!
_緊張しすぎ!
_声でっか!!
_たこ焼きじゃないのかよ!

よしっ!好感触だ!

皆が歓喜の目で俺を見ている。

こんな光景、久しぶりだ。

暖かい気持ちで心が満たされていくのがわかる。

俺はこれが欲しかったんだ。

皆から必要とされたかったんだ。

皆とおんなじ空間に居たかったんだ。

一人離絶された空間に一人きり。そこから俺はやっと解放された。

それがたまらなく嬉しかった。

「ほら、空いてる席に座りなさい。」

先生が空席を指さす。

「はい!」

俺はガタンと席に座ると、まわりのクラスメイトは話しかけてくれた。

「ねぇねぇここまで遠かった?」

「東京の割にはここ田舎でしょ~。」

「この学校の給食すっげえうめえの!」

次々と飛んでくる声に俺はひとつひとつ丁寧に答えた。

みんなが俺を受け入れてくれている。

心からそう感じた。

だが、その時俺は気づかなかった。

歓喜の目に紛れて俺を獲物として物色するような、ギラギラとした視線に。