身代わり彼女、はじめました。【更新中】

「そろそろ降りる準備しな。」

後部座席の俺に、母親が助手席から言った。

「ん。」

俺はシートベルトを外し、車が止まるのを待った。

ふと窓から新たな俺の街を覗く。

そして俺は目を疑った。

「ここホンマに東京なんか?」

そこに広がっていた光景は俺が想像していた光景とは全く異なっていた。

ぎらぎらなネオンと鏡張りの高層ビルや、賑わう電気街などはそこにはなかった。

「ここは東京ゆうても郊外やからな。」

「郊外?」

「都心からはちと離れてるゆうこと。」

俺は完全に車が停止したことを確認して、その地に足を置いた。

うるさいセミの声がミンミンと響く。

足元で揺れる陽炎は故郷の大阪とおんなじだ。

アスファルトの感触を足に感じながら周りを見渡す。

白が基調の閑静な住宅街。

家々の窓が太陽の光を反射してきらきらと光っている。

その中の一つ。まわりの家と負けず劣らず立派な家にトラックの荷物が運ばれていく。

「父ちゃんこんな立派な家こうたんか!?どうせまたすぐ転勤かもしれんのに。」

「転勤はもう終いや。首都勤務に安定したからな。もう転校暮らしも終わりやで。」

瞬間、俺の胸はハイスピードで高鳴った。

「ホンマか!?もう転校しなくて済むん!?」

「おう、沢山友達作りいや。」

父ちゃん俺が友達いないこと知ってたんだ。

いや、今はそんな事どうだっていい。

俺は無我夢中でこれから始まる輝かしい中学校生活を思い描いた。

早く学校へ行きたい!

こう思えたのは何年振りだろうか。