_____夏祭り、本堂前・参道にて
参道の前につくと私は驚愕した。
狭い道に押し込められたような大衆。
「本当にこんな道通るの…。」
ただただ呆気にとられる。
「仕方ないよ、行こう。」
「せやで、行くしかない!」
そんな私を裏腹に、なんの迷いもなく人混みに潜り込む高坂と駒谷。
「待って!」
それに未来が続く。
「りんちゃん、はぐれないように手繋ごう!」
未来はそう言って手を伸ばしてくれた。
「うん。」
私はそれをぎゅっとつかんで、人混みに潜り込んだ。
ぎゅうぎゅうと息が苦しい。
右に左に流されて、未来の手だけが頼り。
「ん、こんな、人多かったっけ。」
密集する人々の汗の臭いが不快にさせる。
私は必死に未来の手を握った。
みんなと、
高坂とはぐれないように。
本堂に出たらなに食べようかな。
そうだ、お参りしないと。
何お願いしようかな。
__そんなことを考えていた時だった。
「えっ。」
ぎゅっとにぎってた未来の手が、
私の手を振り払ったのだ。

