身代わり彼女、はじめました。【更新中】

結局私も高坂と同じプリンにした。

会計を済ませた私たちは、遊具も何もない近所のひっそりとした公園に居た。

寂しげに佇むベンチに二人で腰かける。

…。

互いにプリンには手をつけず、ただただパッケージを見つめていた。

さっきの出来事があってからのこと、なんとなく気まずい雰囲気だ。

高坂の、何の感情もない冷たい目。

いや、どこか寂しげで魂が抜けた様な目が私の脳裏に張り付いていた。

何か、話さなきゃ。

せっかくのチャンスなのに。

必死で話題を探すもむなしく、不思議なほど何も浮かばない。

「俺さ、お前を利用してた。」

沈黙を破ったのは、高坂。

…利用?

「本当は夏祭り、優愛と行くつもりだったんだ。

でも、違う人と行くって断られて。」

ああ、駒谷霧斗か。

優愛の、本当の彼氏。

「最近俺避けられてて。
一緒に帰ってくれなくなって、会話も少なくなって。

それで、



お前と優愛を重ねてたんだ。  」

優愛と、私を?

瞬間、あの目の真意がわかった。

高坂の目に写ってたのは私じゃなくて、優愛。

でも私は、私。

それはきっと高坂もわかってる。

私に重ねても、私は優愛じゃない。

高坂の好きな人にはなれない。

「やっぱり俺、優愛の事が好きなんだ。」

高坂はきっぱりと言い切った。

私の気持ちなんて知らないで。

「ごめん…。」

その言葉が私に向けられたものなのか、優愛に向けられたものなのか。

そんなのどうだっていい。

「謝らないでよ。」

惨めになるじゃん。

優愛の代わりとも知らないで、こんなに舞い上がって。

本当、馬鹿みたい。

「こんなこと、藤咲に言っても困るよな。ごめん、忘れて。」

高坂は無理に作った笑顔を向ける。

やめて、

やめてよ。

「別に。」

必死に涙をこらえて、なんでもいいから言葉を返す。

沈黙になれば、耐えられないから。

「俺、諦められないんだ。
きっと避けてるのにも理由があるんだって。
ただ自分を慰めたいだけかも知れないけど。」

寂しげな声色からひしひしと伝わる優愛への想い。

言え。

言ってしまえ。

優愛には男が出来たんだって。

高坂の事なんて忘れて、幸せに男と過ごしてるよって。

そうすれば、きっと高坂も諦める。

こんな関係も終わらせられる。

私のその一言で。

良いことじゃないか。

「そんなことない。
優愛はきっと高坂のこと、好きだよ。」

また重ねた、

自分を追い詰めるだけの無駄な嘘。

相手を気遣うための。

こんなの偽善だ。

「頑張って。」

最後にそう言って、高坂に背を向けた。

後は泣く前にここから去るだけ。

「またね。」

私はそう言ってがむしゃらに走り出した。

涙声だったかな。

高坂が何か叫んでいる。

だけど私は構わず走った。

じゃないと泣きついて、どうしようもなくなるから。

私は逃げるように走った。

高坂から。

現実から。