フレッドが自宅に夕食を手配してくれたので、日本語書店に寄りたい気持ちもあったが、直帰した。 家の中に入ると、いい匂いが立ち込めている。 それにほっと力が抜けた。 怒涛の毎日に、あの人とどうしようもない話をするのが、息抜きだったんだけど。 なんであのぐらいで機嫌が悪くなるかね。 こっちに非があるとはいえ、だ。 上着を脱ぎ、ネクタイを緩めながら廊下を歩いていると、横のドアが唐突に開いた。 「おかえり」 「・・・ただいま」 ネクタイに指をかけたまま、条件反射で答える。