まだ小指と薬指が不完全、皮膚も全体を覆い切れていない右手が、わたくしへ突き出される。

「くっ」

間合いで勝っていても、瞬発力では劣る。逃げに回るより、攻めに転じられる守りに入ったほうが賢い。

「イーフリート!」

『御意に』

少女が突き出してくる右手を斬り払うには、間合いに入り込まれている。

ならば――

わたくしは地面に剣を突き立てた。一瞬で力を送れるだけ送り、爆発させる。

腕を伸ばした少女とわたくしの間に、炎の間欠泉が吹いた。