なんにしても。
「――はあっ!」
攻撃の手は、緩めない。大上段まで振りあがった剣を両手で持ち、薙ぎ下ろす。正面で止まっている少女を、今度は脳天から真っ二つにできる軌道。
少女は、打撃専門なのだろうか。深く引き込んでいた右手を、私に突き出す寸前だった。
こちらのツバメ返しに一瞬、見開かれる眼。次の動きを考えるために、止まった体。
そこにあるのは、せいぜいが十歳程度の、少女の肉体。――人間では、ないはずなのに、それ以外にはまるで見られない。
振り下ろす一撃でシトメられる――とは思わなかったが、まったくその通り。瞬発力を活かす少女は、こちらの刃が届くより速く、真横へ跳ねた。
しかし、
「っ、甘い!」
横に避けることは、簡単に予想できる。持ち手を瞬時に変えて、斬撃の軌道を切り替える。着地したばかりの少女の胴を、このまま――!
(また跳躍して回避しても、)
(アナタの間合いならば一歩で詰めることも可能)
(ですわ!)
少女は、戦い馴れている様子ではあった。しかし、なにを相手に戦っているのか、こちらの動きをもう少し読まなければ、勝機はない。
盾もない、剣もない少女が、こちらの攻撃を『避ける』以外で逃れるすべは、ない。
あいにくながらこのシオン・ハルトマン、白兵戦で後れを取るほどに落ちぶれた覚えは、毛ほどもない。
彼女はとうに――私に白兵戦で応えた時から――負けているのだ。
「――はあっ!」
攻撃の手は、緩めない。大上段まで振りあがった剣を両手で持ち、薙ぎ下ろす。正面で止まっている少女を、今度は脳天から真っ二つにできる軌道。
少女は、打撃専門なのだろうか。深く引き込んでいた右手を、私に突き出す寸前だった。
こちらのツバメ返しに一瞬、見開かれる眼。次の動きを考えるために、止まった体。
そこにあるのは、せいぜいが十歳程度の、少女の肉体。――人間では、ないはずなのに、それ以外にはまるで見られない。
振り下ろす一撃でシトメられる――とは思わなかったが、まったくその通り。瞬発力を活かす少女は、こちらの刃が届くより速く、真横へ跳ねた。
しかし、
「っ、甘い!」
横に避けることは、簡単に予想できる。持ち手を瞬時に変えて、斬撃の軌道を切り替える。着地したばかりの少女の胴を、このまま――!
(また跳躍して回避しても、)
(アナタの間合いならば一歩で詰めることも可能)
(ですわ!)
少女は、戦い馴れている様子ではあった。しかし、なにを相手に戦っているのか、こちらの動きをもう少し読まなければ、勝機はない。
盾もない、剣もない少女が、こちらの攻撃を『避ける』以外で逃れるすべは、ない。
あいにくながらこのシオン・ハルトマン、白兵戦で後れを取るほどに落ちぶれた覚えは、毛ほどもない。
彼女はとうに――私に白兵戦で応えた時から――負けているのだ。

