彼女は、俺と契約している魔族だ。下級だけど、魔族だ。
だから俺は彼女に嘘をつけない。もっとも、情報交換に嘘を交えるつもりは、始めっからない。
「アイツは、――俺もよく知らない。だけど、シャーリーも魔法に関わる人間が自分の存在をとことん隠すのは知ってるだろ?」
“ええ”
「アイツはそんな世界で、隠しても隠しても、それでも有名になったヤツだ。――たったひとつの肩書き、〝千約〟っていう名前だ」
あらゆる自己情報を隠蔽することに長けた魔法使いが、有名になるなんて自滅行為だ。
もちろん、俺が呪いをかけた相手も、そんなこと常識だと理解しているだろう。
それなのに、名が知れ渡っているのが、あの女……草薙仁だった。
「っ、やっぱ『草薙仁』ってのが偽名なんだろうな」
と、舌打ち。
シャーリーに言って、あの女が口をつけたものを持ってきてもらったのに、これじゃあ効果も中途半端だ。
だから俺は彼女に嘘をつけない。もっとも、情報交換に嘘を交えるつもりは、始めっからない。
「アイツは、――俺もよく知らない。だけど、シャーリーも魔法に関わる人間が自分の存在をとことん隠すのは知ってるだろ?」
“ええ”
「アイツはそんな世界で、隠しても隠しても、それでも有名になったヤツだ。――たったひとつの肩書き、〝千約〟っていう名前だ」
あらゆる自己情報を隠蔽することに長けた魔法使いが、有名になるなんて自滅行為だ。
もちろん、俺が呪いをかけた相手も、そんなこと常識だと理解しているだろう。
それなのに、名が知れ渡っているのが、あの女……草薙仁だった。
「っ、やっぱ『草薙仁』ってのが偽名なんだろうな」
と、舌打ち。
シャーリーに言って、あの女が口をつけたものを持ってきてもらったのに、これじゃあ効果も中途半端だ。

