† ヴァルヌス



目を開けたそこには、蛍光灯が下がっていた。

「おう、お目覚めか、ヴァルヌス」

と、視界に上司の顔が映り込んでくる。

首を傾けると、周囲を白いカーテンが覆っていた。

ここは……病院らしい。

そうか、私は謎の青年に……

どう、なったのだろうか。

「私は、いったい……?」

「おめぇな、作戦しくじったんだわ。〝ゾフィエル〟は大破、おめぇもこの通り三日間気ぃ失ってたし、目標は消えた」

そうか……私はつまり、情けをかけられたのか?

恐らくだが、あの青年が銃の威力をわざと抑えたとしか思えない。

「なあ、ヴァルヌスよぉ」

と、上司が訊いてきた。

「お前がやられちまうたあ……なんだ、そんな強敵だったのか?」

「……」

少し、思い出してみる。

射撃センス、反射速度……そして〝ゾフィエル〟を破壊した技……

「ああ」

と、私は答えていた。

「あそこまでの戦士は、そうはいない」

「ほぉ、そうかそうか」

とりあえず、私は明日からリハビリをせねば……そんなことを思った。