だけど、それがどうした!

振り払え、桜沢悠人!

やれるだろう。

そう。俺ならやれる!!

“悠人!!”

その時、

「シャーリーか!」

 、、、、
“繋がったわ!!”

「よしっ!!」

頭上から飛んできたシャーリーの言葉に、大きくうなずく。

悪魔の囁き、炎のうねり、風の刃が障壁をバンバンと叩いてくる。

轟音乱舞の中、最後の一詠唱――

「七つの館の鍵の管理者、アナフィエルよ。我が祈願に応え、鞭を振るいたまえ!!」

白光が、そして爆発した。

一気に世界が、黒から白へと切り替わる。

町全土を覆う魔法陣、俺の全精神を吸い上げての、発動。

膝からガクリと力が抜けるが、……俺はやった。

町中にほとばしっている魔法陣のラインが、ふわふわと宙へ舞い始める。

稲穂が立つかのごとく、緩やかに。

俺達はまるで、白く輝く密林に踏み込んだ、小人のようだった。

天高く生い茂った線は条に、条は束となり、束は鞭となる。