異種キャラクターバトル

女――草薙仁の言葉に、納得する。

名乗りが無意味である理由。

魔法使いが真名を口にするはずがないという、比喩だった。

草薙が、ポケットからなにかを取り出した。煙草だ。

ライターで火をつけながら、彼女は言う。

「んで、俺に呪いをかけてきた度胸は認めてやる。なんの用だ? 話くらいなら聞くぞ」

その、上からものを言う態度は、俺の軽く十倍か、百倍かを生きている間に培われたんだろう。

『だらしない女』でしかない草薙に、冷や汗を禁じえなかった。

「草薙仁、この町から出ていけ」

だが、俺は逃げられない。

俺が逃げたら、この町はどうなる?

相手は〝千約〟だぞ?

そんなヤツが、こんな町にいてたまるか。

あの時の、狂った三流の起こした醜い事件とは違う。

本物の、魔法による災厄が起こるかもしれない。

そんな人物を、美琴や由良のいる町に、いさせてたまるか。

魔法使いを追い出すのは、俺の役目だ。