両手を前に出して、フルフルと首を横に振ってみたけれど。

「いいや! こんなかわいらしいお嬢ちゃんに怪我をさせて、何もせずにいるってのは男の恥だ! 怪我が治るまで、俺を下僕と思ってこきつかってくれぃ!」

イヤイヤ、そんな…。

下僕だなんて、怖すぎます…。

タカさんて、やっぱり見た目ほど怖くなくて、優しい人なんだなぁ。ちょっと熱いけど。

でも……困ったなぁ。

治療費まで払ってもらったのに、学校まで送り迎えなんて、悪いよ。

チラ、と隣に座っていたハルヒコくんに視線を送る。

ハルヒコくんはそれに気がついて、タカさんと私を交互に見た。

その様子に、タカさんも気が付く。

「そうか、こいつはうっかりした。こんなガラの悪い男に迎えに来られたら、怖いよなぁ?」

「えっ、いえ! 決してそういうことでは! ただ、悪いなあって思って……」

…まあ、ちょっとは怖いと思いましたが。

それは心の中にしまっておきます。

「悪いのはこっちだ。そうだ、ハル、このお嬢ちゃんと知り合いみたいだったが?」

「ハイ、知り合いです」

こっくりと、ハルヒコくんは頷いた。