「ごめんなあ、お嬢ちゃん。一週間も不便な思いさせちまうなぁ」

タカさんは、待合室の椅子に座っている私の前に跪いて、申し訳なさそうに謝った。

「いえ、私も良く前を見ていなかったですから……。すみませんでした」

私もペコリと頭を下げる。

ちょっと浮かれすぎてて、ちゃんと前を見てなかったもんね。私も悪いよ……。

「お嬢ちゃん……イイコだなあ」

タカさんは小さな目を細めて、私の頭を撫でてくれた。

…えーと。

もしかして、タカさんには、私が大学生には見えてないかもしれない。

呼び方がすでに『お嬢ちゃん』だし…。

確かに私は小さいけど…。

「しかし、その足じゃあ、学校に通うのも大変だなあ。どこに通ってんだい?」

「えと……K大です」

「K大の付属?」

「いえ、K大です」

「……大学生か!」

タカさんの驚きの声。

……やっぱりね。高校生か中学生にでも見えていたんだ……。

「そいつは失礼したな。よし、俺が足が治るまで学校まで送っていってやるからな」

「え、そんな、大丈夫です、これくらい……」