余計な真似、っていうのは、私が捻挫した時に、ハルヒコくんが迎えに行くように仕向けたことみたい。

でも、そのおかげで私たちの距離は縮まったんだよね。

タカさんに感謝。


だけど、この事実が私に伝えられることはなかった。

ハルカがタカさんとの『お嬢ちゃんには内緒』っていう約束を果たしたから。


「言う必要もなくなったしね」


綺麗にウインクしてみせるハルカに、私はクエスチョンマークを頭上に浮かべる。


「ところで、ハルカはタカさんとどうなの?」

「……」

ハルカ、沈黙。

そしてウルッと目を潤ませると、私に抱きついてきた。

「うわああ、マユー!」

「な、何? どうしたの?」

まさかフラれたの? ハルカが!?

一瞬そんな不吉なことが頭を過ぎったけど、違った。

「この間、タカヒロさん、すっごく綺麗な女の子と歩いていたの。かなり親しげな感じでさ……落ち込み中……」

どんよりした空気をかもし出すハルカの背中をさすり、励ます。

「大丈夫だよ! 歩いてただけでしょ? 彼女いないって言ってたもん!」

「タカヒロさん、モテるのよ……その前も綺麗な人連れてたし……なんて見る目のある女たちなのかしら!」