「マユ!」

ナオちゃんの後ろからハルカも飛んできて、私に抱きついてきた。

「もうっ、いつも心配させて! 1人でどこか行かないの! 怪我はないの?」

子供に語りかけるみたいに言うハルカを引き剥がして、私はハルヒコくんを見上げた。

「私よりハルヒコさんが! 大丈夫ですか!」

「大丈夫です」

そう、無表情で言うハルヒコくんは……

「ギャー! 血が! 血が出てます!」

額の辺りからと、口の端から血を流していた。

「ああ……平気ですよ、これくらい」

「平気じゃないですよ!」

私はまたぶわ~っと涙を流しながら、ハルヒコくんの手を握る。

そこへタカさんが走ってきた。

「お~、お嬢ちゃん、無事で良かった。……って、ハルはちょっとやられたか。とりあえずこっち来い。警察呼んじまったから、騒ぎになる」


タカさんの誘導で、私たちはライブハウスに移動した。

昨日私が寝かされていた事務室に入り、タカさんがハルヒコくんの傷の手当てをしてくれた後、やっと一息ついた。