カッコイイオトコ

「きゃ……」

少しだけよろけたハルヒコくんの背中を支えると、ハルヒコくんはチラ、と私を振り返った。

「大通りまで出れば人目がありますから。行って下さい」

「でも、でも、ハルヒコさんはっ……」

「俺は大丈夫ですから」

「でもっ……」

私が迷っている間に、お兄さんたちが束になってかかってきた。

それを見て、ハルヒコくんはお兄さんたちに背を向けて、私を抱きすくめてくれた。


どん、と感じる衝撃。

でも私は痛くない。だって、ハルヒコくんが庇ってくれてるから。


なんで?

なんでここまでしてくれるの?

殴られたら痛いのに。蹴られたら痛いのに。

私のせいで……

ハルヒコくんが怪我を……


「やめて……やめてええええ!」


ただ泣き叫ぶしか出来ない自分を不甲斐なく思っていると。


「テメエら、そこで何してんだよっ!」

雄々しい女の子の声が、辺りに響いた。