顔を横に背けたら、顎を掴まれて正面を向かせられた。

「ね? 行くよね?」

すぐ目の前にある目つきの悪いお兄さんの顔に、私は固まってしまった。

どうしよう……

こんな時、どうしたらいいんだろう。

私、いつもこんなのばっかり。

自分のドジのせいで、窮地に陥って。

でもいつも誰かに助けてもらってた。


でも、そんなのばかりじゃ嫌。

自分で何とかしなくちゃ。

でないと、いつまでも自分に自信が持てないまま……ユカリさんの影に追いかけられる。


キッとお兄さんを睨みつけて、息を吸い込んだ。

「ぶつかったことは謝ります! でも、貴方たちと一緒には行きません!」

「えぇ?」

「行きませんから! 離してください!」

お兄さんと目を合わせたまま、そう言い切った。

でも……そんなことを言って分かってもらえる相手じゃなかった。

更に強く顎を掴まれて、右手首をギリ、と強く掴まれた。

「何、コイツ。生意気~」

お兄さんの目が更に鋭くなる。

掴まれた手首がギリリと捻りあげられて、思わず悲鳴を上げた。