「拓篤っ」と、呼ぼうとして一歩足を出した時。


「拓篤‼︎」と、チガウ女性の声がして、出した足を引っ込めた。


あ…。あの人、どこかで見たことある。


誰だっけ、どこで見たっけ…。あ…。


そして、思い出す。チャンピオンで、会ったんだ。


拓篤が冷たくしてた人。ただの知り合いって言ってた人。


ダメだ、なんか今出て行けない…。


幸い今日は、みんな残業らしく誰も帰宅しない。


怖いけど、このまま二人を見守ることにした。


「ねぇ、拓篤‼︎ムシ、しないでよ‼︎」