君と星空の彼方

「…ん………」


目を、ゆっくり開ける。


「む、る……」

「調子はどうですか。
頭などは痛くないでしょうか」

ムルの言葉に私は頷いた。


私は白い世界に入った時の扉に寄りかかっている状態だった。
前にはかがんで私の顔を覗き込むようにムルがいた。


「あなたは30分程でしょうか。早い方ですね…
今は体を休めてください。後で、この扉の事を話しますから。

なるべく…扉の中の事を、思い出しておいてください」


ムルはそう言うと立ち上がって、「部屋に案内します」と言って少し笑った。

結局、私はミズキと同室になれたのかな…なれたら良いのに。


ムルが手を差し出してくれて、まあ遠慮なくそれに捕まり、よろけながらも立ち上がる。
激しい頭の痛みはもう消えていて、夢のようにも感じられた。

ムルの腕に捕まりながら、少しづつ歩く。

気を使ってくれているのか、ムルはいつもよりゆっくりと歩いてくれた。
良い所もあるじゃないの、腹黒男。

しばらく歩いていくと、急にムルが立ち止まって、私もそれを合図に止まった。

「………ここが、ホシノ様の今の部屋です。
正式な部屋ではなく、休むためだけの部屋ですので…起きたら、これを押してくださいませ」


そう言ってムルは私に小さい赤のボタンがついてるスイッチみたいなものを手渡した。

…なんかこうゆう所は現実的だよね。
さすがに何もかもが魔法っぽいのだけじゃないよね。



ムルがオシャレなアンティーク調の細い鍵を手に取り、部屋の鍵穴へとさす。


ガチャリという音と同時に、ムルは部屋を開けた。

中の部屋は落ち着いた緑を基調にした空間が広がっていた。


どこかで聞いたことがある。
緑は目を休めたり、リラックスさせる効果があるのだと。

ムルに背中を押されるまま部屋に入り、ベッドへ座らされる。


「ここでしばらく寝たりして休んでください。

スイッチはテーブルにでも置いといてください。

運良く今日は土曜日。
明日は休みですし、ゆっくりしてください」



私は返事をせずにただ頷いて、ベッドへ寝転がる。

ムルの前だろうと関係ない、眠いし疲れたのだ…


「では」

姿は目を閉じていたから分からなかったけど、ドアを開ける音と閉める音が聞こえた。