理事長先生がムルに「部屋へ案内して」だとか、さっきセイヤがミズキと同じ部屋だからとか。




勉強部屋かなんなのか、未だよく分からない。


「ホシノ、知らなかったの⁉︎

私、先生から聞いてたのに…ホシノ、本当に色々知らずに来たんだねぇ…」



大変だぁ大変だぁと可愛くつぶやくミズキ。

いや、確かに何も知らないで来たよ?だって転校知ったの昨日ですしね?


はっ!今考えれば夏休み課題なんて、やんない方が良かったんじゃ…

酷く後悔。最初の1週間は死ぬかと思った程だったのに。


「はあああぁぁぁぁ……」


「ため息がでかすぎだ。何があったか知らねえけど、ミズキ、説明した方がいいかも。

マジで知らないっぽいし」

セイヤが冷めた目で私を見る。

ミズキに頼むぐらいなら、自分が説明すれば良いのに。

私がもしそんな事言われてたら文句の一言や二言言うのに、ミズキは嫌な顔を全くせずに「あいあいさ〜!」と可愛く言って右手をおでこにつけ、軍隊の人みたいなポーズをした。



…セイヤ、今回ばかりはミズキに助けられたね。

この天使ちゃんに。





私がセイヤを軽く睨むと、なんだとでも言いたげな表情にセイヤはなった。


…無視無視。今からミズキが説明してくれる。ミズキの可愛らしい動作を見て癒されよう!


「えっとぉ、先生によるとホシノは向こう卒業まで寮生活らしいよぉ?」


「……………は?」




寮生活…


って、あの、学校の近くで生徒達が家に帰らずに宿泊する、あの?


寮生活の学校に行けば自由が失われる(と私は思っている)あの?





「…聞いてないよ、お母さん………」




私の消え入りそうなつぶやきは…



突然医務室に入ってきた、ムルの声で掻き消された。




「ホシノ様。

学生寮へご案内いたします」