君と星空の彼方



「ニヤニヤなんかしてませんしっ⁉︎」


私が興奮気味にそう叫ぶと、セイヤ君は興味なさそうに「あ、そう」と言ってまた目を閉じてしまった。

そして5秒もしないうちにまた私の足元で顔を伏せて、すーすー寝息をたてながら寝てしまった。

伏せている顔と手の間から見える顔は

とっても素直そうなのに…性格はすごく面倒くさそうだね。
面倒くさいのが嫌いな私には、ちょっと苦手なタイプかも。


そんな事を考えていると、ミズキが私に抱きついたまま首をかしげる。


「ねーねー、ホシノ。
汗びっしょりだよ?しょりしょりだよ?大丈夫?」

「あっ、ごめん!汗臭かった?
ごめんね!」





私はブレザーだけ脱いで、ワイシャツとスカート状態になる。

これだけでだいぶ涼しくなった気がする。


なんせ変な夢を見ちゃったんだからしょうがない。
あの夢はなんだったんだろう…?

男の人の言葉を思い出す。

『絶対、君の事を忘れないし、
ホシノの事も守ってみせるから…』


切なげに言っていた若い男の人の顔を思い出して、胸が締め付けられるように痛む。

この夢は…何?

もしあの女の人がお母さんで…男の人が、亡くなったお父さんなら。



あの赤ちゃんは…




考えれば考える程私の頭はキャパオーバーだとわめくばかり。





考える事をひとまず諦めて、1度深呼吸をする。


私の様子にミズキが心配そうな顔で見ていた。



「あ、ごめんね。
ちょっと、考え事してたや」

そう言って笑うと、ミズキはへにゃっとほおを緩ませて笑った。


まだ汗はかいているけど、この部屋は結構涼しい。


空調が効いているこの部屋は…どこだろう?




「ねえ、ミズキ…ここは医務室なの?」




私は辺りを見回しながらミズキに聞いた。


辺りを見れば、ベッドがもう2つある。

部屋の隅にはまるで邪魔だと言われてるかのように絆創膏の箱や、包帯の山が無造作に置いてあった。


ミズキは大きく頷くと、

「ここは医務室なんだけど、医務室の先生はこの学園にはいないんだ。


高3の担任の先生はどんな怪我でも治しちゃう能力を持っていて、怪我がひどい人はその先生の所へ直接行くことが多いの。

だからこの部屋はサボり部屋、かなぁ?

ホシノもサボりたくなったら来たら?」


ミズキが上目遣いでふふふと私に笑いかける。


あー、もう。可愛い、何この子…


可愛い顔してちょっとダメなこと言ってるの、気にさせないね!



ぎゅーって抱きしめ返したいけど、私自身汗臭そうだし、諦めた。


「ミズキ、そんな事室月さんに言うなよ、悪影響だろ?


ごめんね、室月さん」




ミズキちゃんの頭にぼすっと手を置いて無造作にその男の子は撫でた。