君と星空の彼方

完全にみんなが座ると、峯浦先生が教壇に手をついて前のめりになりながら話し始める。


「今日の歴史は、2年の2学期から始まる新科目。星の一族の歴史の授業だ。
みんな、教科書は持ってるな……って、室月は持ってるはずないな。

待ってろ、今届けるから」


よくぞ気付いてくれました、先生。

私放置されるのかと思ったよ。


「雄也、届けてくれないか」


先生は教壇の上から、さっきミズキに見せてもらった教科書を取ると、雄也君に渡す。

先生、距離ないんだから歩いて届ければいいのに…生徒に届けさせるなんて!



なんて心の中でツッコミを入れてみる。


けど、私はいきなり目の前で起きたその行動に…


分かりたくなくても、今更後悔しても…先生と雄也君の意図が分かってしまう。





「ほーらよっと」





そう雄也君は言って教科書を急にバサっと上に上げる。


そ、そんなんじゃ落ちる…!


そう思って無意識に手を伸ばそうとした瞬間。


私の目の前では、明らかに異世界で繰り広げられるような光景が広がっていた。


「浮い……てる…………?」



ふよふよ、ふわふわと…教科書は浮いていた。


雄也君は人差し指をくるくる回転させたり移動させたりして、みんなはその様子を見て笑っていたり、まるで見慣れてるからとでも言うようにみもせずスルーする人もいた。


「どーぞ♪室月ちゃん!」

雄也君はいつの間に私のことを室月ちゃんと…じゃなくって!

スゥッと男立てずに教科書は私の机に置かれる。


し、信じられない…




こんな非現実な、異世界的な、ファンタジーな、ふぁんふぁじっくな事が…

あるはず、ない………



くらあぁっと視界が揺れる。

机がぐんにゃりと曲がって、一緒に目の前の景色もぐにゃりと曲がった。





意識が朦朧(もうろう)とし始めて、目を開けられなくなる。


ミズキが「ホシノちゃ…じゃなくてホシノ!」と叫んでるのが分かった。



周りのクラスメイトが騒いでるのも分かった。





けど、ミズキの声が聞こえ終わったら…






目の前の景色が真っ暗になって、周りの声も聞こえなくなった。