君と星空の彼方

やめて。

ダメ、ダメ!



「お母さん、ダメ‼︎」


「大丈夫よ、怖くないわ。

身を消すだけで、心はいつも…ここに」


お母さんの細い指が、胸へと移動する。



けど…けど…


「1人に、しな、いでえぇ……」


大神も、私のお父さんなんでしょ?

なら…なら、1人にしないでよ。


やめて、やめて…お願い……!



「セイヤ…ここで死んではダメよ。

私は…あなたの、育ての母は。


もっと、あなたを強く育てたもの。



ホシノを守って…1人にしないであげて」



うつぶせ倒れていたセイヤは、上半身を起きあがらせ…

目を小さく開け、けれど強く…深く、うなずいた。


そして、私へと顔を向け…


小さく、微笑んだ。




「ホシノ、周りを見なさい。

1人しないで、なんて言ったら…あなたの仲間たちはどうなのよ?」


ふと周りを見る。


学園のみんなが、笑っていた。

みんなだけじゃない…


私には、獣剣学園のみんなもいる。




「大丈夫よ、ホシノ。

あなたは強い子だから、ね…」




お母さん…



もう、言葉が出なかった。

最後かもしれないのに、別れるかもしれないのに。


さようなら、も、ありがとう、も出ない。




「フェニックス!」


_キエエエエェェェ‼︎‼︎



火の鳥は、炎に包まれる。


熱くて熱くて、みんなは後ろへと退いた。



けど…私は、動けなかった。



「ホシノ、こっちに来て!」

「ミズキ、やだよ…私、いや……」



お母さんと一緒に行く!

大神とも…一緒に行く…!




「ホシノ…愛してるわよ」


「……ごめんな、ホシノ。

頼りないお父さんで」



すっかり声が優しくなった大神の声。

それはまさに、お父さんだった。



「フェニックス…もう、準備はいいわ」




''さようなら、ホシノ……''



2人のその声が聞こえると同時に、フェニックスの炎は2人を包んだ。


直接じゃない…まるで闘技場のリングのように、囲むように包んだ。



炎は高く燃え上がり、見えなくさせる。




「お母さん…お母さん……!」




やめて、お願い、やめて……!




「やめてええええぇぇぇぇ‼︎‼︎」



そんな声も掻き消される程の炎が轟音と共に高く舞い上がった。


その轟音にも、私の叫び声にも負けず…



何処か遠くで、何人もの人が、叫ぶ声がした。



城の人が、やっと…異常事態が城で起こっているってことに気がついたんだ。