「…昔から決まっているのです、真っ赤な目…真紅とでも言いますか、そんな色の目をするのは、
幻獣の使い人だけです。


けれどあなたは真紅の目を持ち…それを隠している」



…生徒会長は、とても強い。

俺は能力を器用に使って、目の色を他人にバレないようにした。


けど、なぜかムルさんと…ホシノにだけは見破られていた。




ムルさんはなんとなく分かる。強大な力を持つムルさんなら、俺が使った能力も簡単に見破られるだろう。


けど、ホシノは分からない。


きっと隠しているけど…バレてる。



俺の力不足か、相手が鋭い観察力の持ち主なのか…


考えられるのはそんなところだ。


これでバレたのは3人目。


ムル、ホシノ、そして生徒会長…か。



いや、もしかしてホシノの場合、

おばさんが…ホシノのお母さんが、関係しているのか?


出発前夜のことはホシノは覚えていない。



俺がホシノのお母さんに育てられたようなものなんて、今のホシノは知らない。




「幻獣使いに対してはあなたがかけた能力も薄れるようです。

だから僕にも見えたのでしょう」



「…いや、他の幻獣の一族には見破られなかった。

俺の能力がどっか劣っていたのでしょう」



「そうなのかもしれませんね。

それはともかく…もしかしてあなたは…」




生徒会長の言葉を遮るようにうなずく。




「…俺は、幻獣使いだ…元だけど。

力を全く持たなかったせいで捨てられ、親切な人に育てられてる途中…


星空使いの力があることが分かって、今ここにいる」




俺の言葉に納得したように生徒会長はうなずいた。




「…誰にも言いません、安心してください。

ただ、忠告をしておきたいのです」


「…忠告?」



生徒会長は俺に近づき、声を潜めて言った。





「…2つの能力者一族の血を持つ者は、それなりの力があります。

あなたが星空の力を得て、その力も強大になったのも2つの血のせいでしょう。



そんな特殊な能力者は……狙われやすいのです」






2つの血…狙われやすい…




「…分かりました」




全然分からない。俺を捨てた一族の血が体内に入っているのを理解できない。