「良かったですね、大成功じゃないですか」


その声に振り返ると、微笑むムルが立っていた。



「…ありがと!ムル‼︎」

「ヒントを差し上げただけで、力を出したのはホシノ様自身でございます。

今のように、他の技ももっと磨きをかけてくださいませ」



私が大きくうなずくと、ムルは途端に真剣そうな眼差しになった。

その様子に私も動きが止まる。



「…戦いは、もうそこまで迫っている気がしてなりません。

今すぐにでも戦えるよう…いえ、自身だけでも守り通せる程の力を蓄えてくださいませ」



そう言って一礼をすると、他の人のところへ颯爽と行ってしまった。



戦いが、迫っている…すぐそこまで。


今のシールドだけで満足なんてしてられない。

他の技も、今みたいに完璧にしなきゃいけない!




ムルの目は、いつになく真剣そうだった。

あのバケモノと呼ばれる強さを持つムルでも不安なこの戦いで

自身を守るのも辛いかもしれない。



けど、私は絶対自分だけじゃなくって、みんなも守ってみせる。


新入り風情が!なんて言われるかもしれないけど…絶対に。





大切な、仲間だもん。




もちろん、ムルも。








私は巨大なシールドの中にいるみんなをみつめた。



みんなの目は、各自別の色だったりするけど、

とても真剣な眼差し。




それはきっと、自身を守るためだけじゃなくって…


ここにいるみんなを…いや、能力者のみんなを守るために自身を磨き上げようと強く志しているからだと思うんだ。





キナリの能力者のみなさん。

地球にいる能力者のみなさん。


今の政府に、殺されてしまった…能力者のみなさん。





はっきり言って私は決意なんて固まってなかった。

けど、過去形なんです。





私はやっと…ここにいるみんなと同じ気持ちになれたんです。







絶対に…この戦い、勝ってみせます!