なんとも言えないような気温のこの空間。


私は…いや、私たちは学園の外の砂地に出ていた。


別に暑くもなければ寒くもないような不思議な空間です。





「皆様、用意はよろしいでしょうか」





ムルが私たちに微笑みかける。


もちろん、わざとらしい作った笑顔で、だけど。




ムルの裏な面を知ってしまったせいか、私はなんとなーくムルが作り笑いをしているのを見分けられるようになってしまった。



うぅん、不覚。全く嬉しくない!



今はユウ以外の寮生全員が大きなキャリーバッグやボストンバッグを持って外に集合している。

私たちの向かい合わせにいるのはムル。

今回のキナリ行き、唯一の引率の人。


もっと理事長先生は引率を付けたいらしいんだけど、今日だって寮生以外は通常授業。


先生たちも暇じゃないし、学園側はムルだけでいいかってことになったらしい。



「今からキナリへ行きますが、キナリに行くには2つの手段があります。

1つ、車を使い転送空間を使い移動する」


ムルが1本、指を立てながら説明をする。


車を使って転送空間…って、もしかして私が初めてこっちへ来た時の道かな?

あの今にも崩れそうな絶壁を、リムジンで走った…よね。