「ちょっとホシノ〜、ぼーっとしてないで準備準備〜!

旅は長いよ〜!」


そんな風に私を注意しながらも、満面の笑みを絶やさないミズキ。

よっぽどキナリ行きが楽しみなんだろうな。


でも…嬉しくないニュースが1つあるんだよね。


「あぁ〜…みんなで行きたかったなぁ。

キナリ行き」


「うん…ユウが来れないなんて、そんなのないやぁ」


そう。

寮生全員で行くはずだったキナリ行きで唯一断ったのはユウだった。

ユウは家の用事があるとかで。



「ユウの実家、キナリのはずなんだけどなぁ〜」

「え⁉︎そうなの…?」

「うん。イリヤ先輩とマナミ先輩以外はみーんなそう。

私たち3人の幼馴染も、ね」


へぇ…でもそれならなんでミズキはこんなに楽しみにしてるんだ?

ゆりさん探しだけでこんなるんるんにはならないだろうし…

生まれ育った地に戻る、ってだけでしょ?


「あ、私たちは日本にも家があるんだよぉ。

本家が家ってだけなの」


ほ、本家…


みんなお金持ちですな…いや、それが普通なのかな?


「私の家はちょっと特殊だけどねぇ…普通能力者の家の子供はね、19歳になるまではキナリの本家にそんな行ってはいけないの。

だからずっと日本で私たちは暮らしてたんだぁ。


あ、でもセイヤって昔引っ越して来たんだよ。

えっとぉ…7歳の時かな?」


「へ〜…って、あれ?

夜月とセイヤって、生まれた時から一緒ぐらいの幼馴染なんじゃ?」


前にセイヤいってたよ?

俺と夜月は生まれた時からって言っても、過言じゃない程の幼馴染…的なこと。


「えぇ〜?それはないよ。

それを言うなら私と夜月がそんな感じかなぁ。


能力者の家柄同士、日本の山奥の田舎でぼんやり暮らしてたからねぇ」