「……ミズキ、お願いだから教えて。

私、そのせいで困ってるの」


ミズキが言わない理由も分かる。

きっと私のため思ってるところも大きいはず。


けど…


これを聞かないと何も始まらない。


みんなに起きている錯覚を解いてあげる。



自分のためだけじゃない…みんなのためにも。


夜月にも気づいてもらえなきゃ、ダメ。


けど、だからって言って『ゆり』の居場所を奪うとか、そんなことはまーったく思ってない!


ただ、みんなに私と『ゆり』の区別をつけてもらいたいんだ…



……そして、私の予想が正しければ


『ゆり』って子は…この学園にはいなくって。

峯浦先生のいっていたことは間違ってて…『いた』だけ。


今はなんらかの理由があって、いなくなっちゃったんじゃないかな。




「……お願い」



私はその4文字の1文字1文字を大切にするように、噛み締めながら言った。


「…………後悔、しない?」


「…ミズキったらなにいってんのさ!私は後悔してもすぐに立ち直れる、ある意味すごい性格の持ち主だよ?」


へへっと笑って言うと、ミズキもつられてぷっと笑った。




そのことを昔友達に自慢したら「いやそれ自慢していいこと…?」と苦笑されたけど。