私より広い背中の中の、ふるえて小さい幼子のような夜月を守るように。


そう、特別だから。


今だけ…たった今だけ。


夜月が愛しく感じているのであろう『ゆり』になってあげる!

しょうが、ないなぁ…はは…




夜月を抱きしめながら思い出す。



この学園に来て、クラスで自己紹介をしたあとに。

席はたった1つしか空いてなかったのに先生がどこの机にしようかと悩んでいた顔を。


もしかして、だけど。



私が座っているあの席に『ゆり』はいて。

隣であるミズキと仲が良かった『ゆり』がいて。

セイヤが話す数少ない女子の『ゆり』がいて。



夜月が好きだった『ゆり』がいたとしたら。




あの席に座った後にテンポ良くリズム良く、周りと打ち解けられて周りが優しくしてたのは、全て。


全て



みんなが私に『ゆり』の面影を探して、無理矢理あてはめていたとしたら…?



涙が目に溢れて、拭う間もなく落ちてきた。




私をずっと抱きしめている夜月。



いや


『ゆり』をずっと抱きしめていると思っている夜月。