けど


「なんか実感湧かないんだよな〜」




本当に全く実感が湧かないんだよね、本当に。

昨日友達が涙ながらに別れを惜しんでくれたというのに…薄情者かな?



でも湧かないものは湧かないんだよ。


人は素直に生きるべき、だしね!



「ホシノ〜?起きてる〜?」


急に部屋が開いたと思うとお母さんが満面の笑みで私に話しかけて来た。


「あ!起きてるわ!

目覚ましセットしておいて良かったわ〜」


犯人お母さんだったんだね⁉︎

ちょっと不気味だったからね⁉︎


脳内でツッコミを繰り広げる私を無視して…多分気付いてないだけなんだろうけど。

お母さんはまたまたにこやかに言った。


「早く行かないと。

もう家の前に迎えが来てるから、さっさと制服だけ着替えて来なさい?」


はい、制服と言って紙袋を白のソファの上に置くと、お母さんは部屋を出て行った。



え、ちょっと待ってちょっと待って。

展開早すぎじゃありません?


てゆうか迎え来てるの?早く行かなきゃじゃん!



「やばいやばいやばいやばーい‼︎」


ベッドから飛び起きてお母さんが置いてった制服を持ち上げる。