ヒュッ



その瞬間、風を切る音が聞こえて。

私は瞬間的に体を低くし、得体の知れない風を切った物を探す。



バアァンッ‼︎‼︎



そして次に聞こえたのは


何かが壁に衝突する音。




「な、なに⁉︎
何が起きたの⁉︎」


私は低い姿勢をとったまま、周りを見回す。



…そして、変化に気付いた。




2回目、壁に何かが当たるような音がした方向を見ると、確かに壁がへこんでいたのだ。

それに




周りのみんなをまとう、空気が違う。



突然の風を切る音や、壁に何かが衝突したというのに全く誰も私のように騒がず、辺りを鋭い目で見つめている。



「な……に………?」



ただ私だけが脳内でパニックを起こしていた。

何が起きたの?
誰か教えてよ!

風を切る音の正体は?
何が壁にぶつかった?




…なんでみんな、そんな殺気立ってるの…?




私の背筋にブルルと寒気が走る。

鳥肌が立ったのが何と無く分かった。

額から嫌な汗が滲み出る。



混乱して、何があったか聞きたくて、怖くて叫びたい今でも

空気を読んで、じっと唇を噛んだ。