肌寒いなぁ。 家の門を閉めて顔を上げると、遠くの方で手を振っている子がいる。 「あーいーかー!」 「ちょーーーーーこーーーー!」 腕が引きちぎれるんじゃないかってくらい振る。 「蝶子今日早起きだったんだねぇ。あたしびっくりしたよ!6時に来てたんだもん」 お母さんに起こされたんだよねと笑うと、藍佳はあははと軽く笑った。 「なんか肌寒いよねぇ。もうすぐ春だってのに。あたし、春が一番すきだなぁ。蝶子もでしょ?」