彼がロワという名前らしい猫ちゃんに話しかける。 すると猫ちゃんはまた私の方に寄ってきて、足に絡みついた。 「はは、ロワは随分と君が気に入ったようだね」 「え、そうですか…?」 「ああ。ロワは初対面の相手には気を許さないし、本当は懐くのにも時間がかかるようなやつだからね」 そうなんだ。なのに、私には懐いてくれるなんて…! 「ところで、君はどこでロワに会ったの?」 「5丁目の方です」 「今日はずいぶん遠出したんだね…よかったなロワ、彼女と会えなかったらお前、帰ってこれなかったぞ」