その後、混乱する私に吉野さんは説明してくれた。 『なんでも、ここらにマンションを作る計画があるらしくて…私も年だし、そろそろ潮時かなって。あと、何より―』 『ここ、私たちしか住んでないじゃない?』 ―そう。 吉野荘は、現在2人―吉野さんと私しか住んでいないのだ。 『本当にごめんね、花菜ちゃん』 引っ越しの猶予は1ヵ月。 その間に私は、吉野荘と同じくらいの家賃で、過ごしやすい家を見つけなきゃならない。