部屋に戻って、雪桜を下ろす。

さっきの平助達との会話が頭に残る。

”僕は、恋仲なんて作らないから”

あの言葉に嘘はない。

”沖田さん”

ある少女の顔を思い出す。

僕はぶんぶん顔を横に振って思い出を放り出す。

思い出すのは止めよう。

固まったまま動かなくなってしまった雪桜を抱き上げる。

それでも雪桜は動かない。

「雪桜?」

心配になって声をかけるが反応なし。

本当にどうしたんだ?

また調子が悪いのかな?

雪桜は余り鳴かない。

僕は助かるけど....その代わり、元気なのかとか感情が分からない。

「雪桜?」

念のためもう一度声をかける。

今度は気づいてくれたみたいで、目が合う。

ほっとしかけた時だった

ペロッ

え?

一瞬頭が真っ白になった。

あまりにも突然だったから。