半刻後

私は、体をグルグル巻きにされ、さっきの男の人に抱かれて居た。

「これは、塗り薬と代えの包帯。」

「はい、ありがとうございました。」

「お大事に~」

お医者さん、顔は優しそうなのに……

治療の時は、目がガチだった。

ちょっと、いやかなりビビりましたよ。

「さて、治療してもらったのは、良いんですけどこれからどうしましょう?」

男の人の言葉に私は、体を固まらせる。

そうだった、これから私はどうしよう?

人間ならまだしも、今私は猫。

生きていくのは、難しい。

この人と出会ったからって、勘違いしてた。

この人は、私を”治療させてくれただけ”であって、世話まではしてくれない。

すっかり、そんなこと頭から抜けていた。

そんなとき……

「君暴れないでね?」

そう頭上から声が聞こえたと思ったら、男の人の着物の中だった。

一瞬何が起こったかわからなかった。