サッカー部は辞めちゃったけど、それ以外、育児、学業、バイト、全部、全力尽くそうって決めたんだ。
ようやく、その中の一つがもうすぐ果たせそうだな……」
ずっと彼の手を握っていた優月は、するっと自分の手から彼の手が離れ、ポンポンと軽く手のひらを叩かれた事によって、話が終わったのだと理解した。
アルバムを閉じ棚に戻すと、陸はうう~っと唸りながら背伸びをし体をほぐす。
「最後まで聞いてくれて、ありがとうな」
そう言って部屋を出て行こうとする陸の腕を、とっさに躓きそうになりながら優月は掴んだ。
「……待って。話してくれてありがとう。私も、引っ越ししてからの事、話す。……私も過去の事、陸に知っててほしいから」
「ん。分かった。……今日の夜な」
優月の涙はとっくに止まっているはずなのに、陸は幼い頃と変わらない、彼女を慰める時に見せる柔らかい眼差しで、そっと彼女の頭に触れるのだった。
部屋の中を照らしていた夕日も、すっかり消え去り、窓の外では淡い夕闇が広がっていた。



