「それ本気?佐野は、陸さん達と離れて暮らしたいって、本気で思ってる?」
「……それは」
暗がりに見える横顔の長澤は、先ほどとまた違って、大人びた顔つきだった。
「陸さんそれ聞いたら、多分すげーショック受けるよ。おじいさんだっておばあさんだって」
相園家の事情はほとんど話していないにも関わらず、彼から言われる言葉はやたら重く、優月の胸を針のようにチクッと刺すようだった。
それでも、優月にはもっと別に、相園家に居られない理由があった。
誰にも打ち明けられない、一番近くて一番遠い人に恋をしてしまったから。
その事実を堪えるように、優月は言葉を選びながら続ける。
「一緒にいるのが、辛いの。みんな優しいから、それが余計に辛い。私がいたら、あの家族を壊しちゃいそうなんだよ……」
振り絞った本音は涙を滲ませた。
顔を上げられず、膝の上の手を歪む視界で見つめた。



