けれど、どれだけ瞬に尽くそうと一生懸命になっても、彼女は母性というものを自覚する程、自惚れることはなかった。
気づいてはいても、それを認めたくはなく、後ろめたさが絶対的に勝っていた。
どうしたって、ついて回る肩書き。
恋したのは、いとこ。
その彼には子供がいる。
いとこの子供だ。
おじいちゃんもおばあちゃんも大好きだ。
今ある環境に不平不満は無い。
それでも、嘘のない気持ちの中に疼くのは隠した恋愛感情。
その秘密の感情があるのも、全てはあの目障りにすら感じる肩書きのせい。
さっきまでの和やかな気持ちにふと覆いかぶさる、淀んだ気持ち。
肩書きを忘れることなんて一生できない、もちろん変えることも消し去ることもできないだろう。
楽しい時間を過ごしながらも、彼女のその裏ではいつだって肩書きがついて回る。
せっかく大半が出来上がっていた帽子も、今日は次第に編むスピードも落ちていった。



