優月に触れる度、あの空気が流れる度、純粋に近づきたい、自分の思いを伝えて彼女の思いも直接感じたいと、強く激しく思うようになっていた。




何もかも忘れ、ただまっすぐ彼女の事だけを考えるなら、髪に触れるだけでは満たされるはずがない。



陸はその事を最近は特に実感していた。





けれど、どうしたって付いて回る。




自分が普通の高校生ではない事。



幸せを感じることも、後に罪悪感が襲うのだ。





全部受け止める覚悟はしていた。







そう、してきたはずだった。




輝かしい眩い光を知って、永遠の優しい強さを知ったあの日から。







陸は、心が揺れていた。







二人にしか開けることも持つこともできない合鍵。


その鍵を持つその手も、微かに震えるように……。