白い月~夜明け前のその空に~


なぜ彼はそんな態度に出る必要があるのか。



必要があるのなら、それはきっと、自分に対して言いたいことがあるはずだと、陸はそう勘付いたのだった。




むしろ、そのケンカの理由こそが…



「…嘘だよね、ケンカしたのも、付き合ってるっていうことも」


「っ…はい!ごめんなさい!」


少しは誤魔化すのかと思いきや、陸の鋭い目つきもあってか、もう逃げられないと思った長澤は1、2秒の間の後に謝罪した。



その早さにあっけにとられる陸は、胸をなで下ろしてもいた。


「いや、そんなに謝らなくていいから。でも何でわざわざ嘘ついたんだ?」


しきりに手を合わせ、頭を下げる長澤を諭すように言うと、長澤はしゅんとした顔のままで口を開く。


「…付き合ってるふりをしてたことは、本当なんです。多分、佐野はそのことを今も陸さんの前で続けているんだと思います」


「え、ちょっと待って。何?付き合ってるふりって?」